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相続・遺言手続きQ&A

 

Q&A集

【遺言】遺言書を書く代わりに遺言内容をカセットに録音するかビデオで撮影しようと思うのですが、これらは法的に有効ですか?                    

無効です。法的に有効な遺言書を遺すときには必ず書面でなければいけません。カセットに録音したものやビデオで撮影したものは、内容がどうであれ法的には無効となります。よって遺言書としては利用できませんが、最後のメッセージとして活用するのであれば特に問題はありません。

                

 

【遺言】パソコンを使って遺言書を作成し、印刷して署名押印すれば自筆証書遺言として認められますか?

        

認められません。自筆証書遺言は遺言者本人が全て自署することが要件なので、上記のような遺言書は無効です。パソコンを利用するのであれば、遺言書の原案を作成するときのみとし、最終的には必ず自筆で作成するようにしてください。

 

 

【遺言】知人に代筆を頼んで自筆証書遺言を作成しようと思うのですが大丈夫ですか?

          

大丈夫ではありません。自筆証書遺言は遺言者本人が全て自署することが要件なので、代筆によって作成された遺言書は法的に無効になります。必ず遺言者が全文自筆するようにしてください。

 

 

【遺言】夫婦で一緒に遺言書を作ろうと思うのですが、一つの遺言書に連名で署名押印するのはいいですか?

 

ダメです。一つの遺言書に複数人が連名することは法律で認められていません。たとえ夫婦で同じような内容になるとしても、それぞれが一通ずつ作成して別々の遺言書にしなければいけません。

 

 

【遺言】以前遺言書を作成したのですが、状況が変わったので内容を変更したいと思っています。どうすればいいですか?

 

作成した遺言書を訂正するか、撤回するか、破棄して新たに作成し直します。

作成している遺言書によって対応が変わってきます。自筆証書遺言であれば前に作成した遺言書をベースに訂正か一部を撤回、または全部撤回か破棄して一から作成し直します。公正証書遺言であれば、作成した公証役場にその旨を伝え新しく作成し直します。自筆証書遺言の訂正は法的な要件が厳しいので、できれば古い遺言書を破棄して一から作成し直した方が良いでしょう。

 

【遺言】子と相談しながら遺言書を作成したのですが、後で内容を変更するときには子の承諾がいるのですか?

 

いりません。そもそも遺言書は遺言者が単独で作成するものであり、後で内容を変更したり撤回したりすることも遺言者が単独で行います。たとえ遺言書の作成時に子と相談していたとしても、全く関係ありません。今回の場合、子の承諾等は一切必要ありません。 

 

【遺言】遺言を書きたいのですが、どんな書き方でも良いのですか?

 

通常、人が死亡すると、その人の遺産は法定相続人(民法に定められた一定の範囲の親族)が相続するのが一般的ですが、自己の死後、特定の人に遺産を相続させたい場合、あるいは、誰がどんな割合で遺産を相続するかを指定して、万一、相続人の間で相続争いが起こらないように備えたい場合は、自己の意思を文書にして作成しておくのが遺言です。ただし、民法により定められた方式で書かれていなければ、法的に効力のある(有効な)遺言書とはいえません。(民法960条)

 

【遺言】子どもでも遺言は書けるのですか?

 

満15歳になれば、遺言をすることができます。(民法第961条)

 

【遺言】夫婦二人で、死後お互いにすべての財産を残す、との1通の遺言を書こうと思っていますが可能ですか?

 

遺言は、ひとりひとりの意思によって個別に作成される必要があるので、二人以上の者が同一の証書ですることができません(民法第975条)。夫婦であっても共同で一つの遺言はできません。

 

【遺言】遺言にはどんな種類があるのですか?

 

民法で定められた遺言で、普通方式の遺言には次の3種類があり、よく利用されるのは(1)自筆証書遺言と(2)公正証書遺言です。どの方式であっても、それぞれ民法で定められた形式を守らないと無効となります。

自筆証書遺言(民法第968条)(Q7・Q8参照)

公正証書遺言(民法第969条)(Q9〜Q11参照)

秘密証書遺言(民法第970条)

(参考)特別方式の遺言は、以下の方式があります。

1.    危急時遺言:疾病などで死亡の危急が迫っているため署名などできない者が遺言をしようとするとき、その趣旨を口頭で伝え証人が書きとめる方式。三人以上の承認の立会いが必要。(民法第976条)

2.    隔絶地遺言:伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所にいる者が遺言書を作る場合、警察官一人と証人一人以上の立会いが必要。(民法第977条)

3.    船舶中遺言:船舶中にある者が遺言書を作る場合、船長又は事務員一人及び証人二人以上の立会いが必要。船長又は事務員一人及び二人以上証人の立会いが必要。(民法第978条)

4.    船舶遭難者の遺言:船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、口頭で遺言をすることができる。船長又は事務員一人及び二人以上証人の立会いが必要。(民法第979条)祭祀承継者の指定(民法第897条1項)

 

【遺言・相続】同居して面倒を見てくれている子により多くの財産を相続させたいと思うのですが、可能でしょうか?

 

その旨の遺言書を書くことで可能になります。遺言によって法定相続分(Q21)とは異なる相続分を指定することができます。(民法第902条、903条3項)但し、他の子の遺留分(Q35)額を超えた相続分を指定した場合には、その他の子らに遺留分を請求する権利が発生しますので、注意が必要です(民法第1028条)

 

【遺言】自筆証書遺言の書き方は? 他人の代筆や、パソコン等で作成しても良いのでしょうか?

 

自筆証書遺言は、その全文、日付及び氏名を自筆で書いた上でし、これに印(認印でも良い)を押さなければなりません。よって他人の代筆によるものは無効です。パソコン等の使用は、遺言者の真意を判定できないので無効とされています(民法第968条1項)。

 

【遺言】自筆証書遺言を書き間違えたので、訂正はできるでしょうか?

 

遺言に変更を加える場合は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して、特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じません(民法第968条2項)。形式に間違いがあると、変更の効力が認められない場合もありますので、間違えた場合ははじめから書き直すか、専門家に相談してから訂正を行ってください。

 

【遺言】公正証書遺言はどのように作りますか?

 

公正証書遺言は、公証人に対して遺言者が遺言の内容を伝え(「口授(くじゅ)」といいます。)、それに基づいて公証人が、遺言者の真意を正確に文章にまとめて作成します。これを公証人が遺言者及び立ち会っている二人の証人に読み聞かせ、又は閲覧させて、内容が正確かどうか確認し、3人が署名捺印することで完成します(民法969条)。公証人は全国各地にある公証役場で執務しています。 (参考)口がきけない方、耳が聞こえない方が遺言書を作成する場合

平成11年の民法改正により第969条の2が追加され、口がきけない方が遺言書を作成する場合、遺言者の通訳人の通訳による申述又は自書を、上述の「口授」に代えなければならないことになりました。耳の聞こえない方に対しても、公証人は、筆記した内容を遺言者に伝えて、上述の「読み聞かせ」に代えることができます。

 

【遺言】遺言者が寝たきり等で公正証書遺言を作成するために公証役場まで出向けない場合は、どうしたらよいでしょう?

 

遺言者の依頼によって、公証人に入院先の病院や自宅に出張してもらうことができます。ただし、手数料に公証人の出張経費が加算されます。

 

【遺言】公正証書遺言を作るには証人が二人必要と聞きましたが、どんな人がなれるのですか? 適当な方が見つからない場合はどうすればいいですか?

 

証人は、「未成年者」、「推定相続人及び受遺者と、これらの配偶者及び直系尊属」、「公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人」以外であれば誰でもなれます(民法974条)。もし、上記の方が証人として署名押印した場合はその遺言書は効力がありませんので(無効)、ご注意下さい。証人が見つからない場合は、公証役場で、もしくは行政書士等の専門家に、ご相談ください。

 

【遺言】遺言執行者とは何でしょうか? どんな役割をしますか?

 

遺言執行者とは、遺言者によって指定された、又は家庭裁判所によって選任された者で、遺言書の内容を実現する責務を負った者です(民法第1006条・1009条・1010条)。職務は、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為です。(相続財産目録の作成、相続財産の管理、遺贈の履行、遺言認知の届出等)。なお、職務遂行にかかった費用、報酬等は、相続財産から支出されます。

 

【遺言】遺言は、一度書いたら書き直せないのですか?

 

何度でも書き直すことができます。新しく作成した遺言で前に書いた遺言を撤回することも出来ます(民法第1022条、第1025条)。また、被相続人の死後、複数の遺言書が見つかった場合、日付の最も新しいものが有効となります。但し、生前より、後で問題が起きないように、新しい遺言書を作成した時点で、古い遺言書を破棄する方がいいでしょう。

 

【遺言】本人が亡くなった後、遺言書が見つかった場合、遺族は何をすればよいのでしょうか? 封をされている場合勝手に開けて見てよいのですか?

 

遺言書が見つかった場合、保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。(民法1004条1項)。「検認」とは遺言書の現状を確認し証拠を保全する手続です。但し、これを経たからといって遺言の内容が有効と確認されたものではないとされています。なお、公正証書遺言の場合、この手続は必要ありません(民法第1004条2項)。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができないことになっています。(民法第1004条3項)。

 

【相続】「相続」とは何ですか? 「被相続人」「相続人」という言葉を良く聞きますが、どういう意味ですか?

 

「相続」とは、ある人が死亡したとき、その人の財産に属した一切の権利義務を受け継ぐことを言います。ただし、その人の一身に専属したものを受け継ぐことはできません(民法第896条)。死亡した人を「被相続人」、その所有していた財産を「相続財産」、その権利義務を受け継ぐ人を「相続人」と言います。相続人となれる人は、民法により、その範囲が定められています。

 

【相続】相続と遺贈の違いは何ですか?

 

相続とは、被相続人の死亡後、相続人に対し、遺言による相続分の指定(民法第902条)、あるいはそれがなければ法定の割合(民法第900条)に基づき、被相続人の財産に属した一切の権利義務を引き継がせることを言う(民法第896条)のに対し、遺贈とは、遺贈者の遺言により、受遺者にその財産の全部又は一部を、包括的にまたは特定して贈与すること(民法第964条)を言います。どちらも人の死亡を原因とする点(民法第882条、第985条)と、遺留分を侵害することはできない点(民法第1028条、第964条)においては同じです。違う点は、相続における対象者は相続人ですが、遺贈の対象者は、特に特定されていません。従って、相続人以外の人に財産を遺したいのであれば、遺言により遺贈をすることが必要となります。

 

【相続】相続人になる人は決まっているのですか?

 

相続人となるべき方及びその順位は法律で決められています。配偶者は、常に相続人となります(民法第890条)。内縁の妻は、対象となりません。

第1順位 子

常に相続人となります(民法第887条1項)。養子も相続人です(民法第809条)。養子(普通養子)は、実親と養親の双方から相続を受ける権利を有します。子には、胎児を含みます(民法第886条)。非嫡出子も相続人ですが、相続分は嫡出子の2分の1になります。(民法第900条4号但書)。

第2順位 直系尊属

被相続人の父母、祖父母等を言います。子がいない場合に相続人となります(民法第889条1項)。被相続人に親等が近い者が優先します。

第3順位 兄弟姉妹

子供も直系尊属もいない場合のみ相続人となります(民法第889条1項)。

 

【相続】相続人であるのに、相続ができない場合はありますか?

 

推定相続人とは、現時点で相続が発生した場合、法定相続人となり得る者のことを言い、その全員が実際に相続人になれるわけではありません。推定相続人が相続権を失うのは以下の場合です(民法第891条、第892条、第893条)。

相続人の死亡

相続欠格(Q20)

推定相続人の廃除(Q20)

 

【相続】相続を拒否することができますか?

 

相続が始まった後、相続の放棄、すなわち相続人の意思で相続しないことができ(Q27)、その場合、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三ケ月以内にしなければなりません(民法第915条)。放棄をすれば、その直系卑属に代襲相続権は発生しません。

 

【相続】相続欠格、廃除とは何ですか?

 

相続欠格とは、推定相続人について、相続をさせることが社会通念上相応しくない事情がある場合、法律上当然に相続人の資格を失わせる制度です。民法で定めるのは、故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡させたために刑に処せられた者や、詐欺・強迫により被相続人が遺言をし、撤回し、取消し、または変更することを妨げた者、相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠蔽した者などは、相続人となることができません(民法第891条)。廃除とは、被相続人が推定相続人に相続をさせることを望まない時、家庭裁判所に請求してその者の相続権を失わせる制度です。推定相続人が被相続人に対して虐待・重大な侮辱を与えるか、推定相続人に著しい非行があったことが必要です(民法第892条)。

 

【相続】法定相続分とはどのようになっていますか?

 

昭和56年1月1日以降生じた相続については、法定相続分は以下の通りになります(民法第900条)。

子及び配偶者が相続人であるときは、配偶者に2分の1、子は残りの2分の1を人数で均等に分けます。但し、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1となります。

配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者に3分の2 、直系尊属は残りの3分の1を人数で均等に分けます。

配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者に4分の3 兄弟姉妹は4分の1を人数で均等に分けます。但し、片親のみが共通(半血)である兄弟姉妹の相続分は、両親が共通(全血)である兄弟姉妹の半分です。

子のみが相続人である時は、人数で均等に分けます。但し、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1です。

直系尊属のみが相続人であるときは、人数で均等に分けます。

兄弟姉妹のみが相続人であるときは、人数で均等に分けます。但し、片親のみが共通(半血)である兄弟姉妹の相続分は両親が共通(全血)である兄弟姉妹の半分です。

 

【相続】夫(妻)が亡くなったのですが、私はどれだけの財産を相続できるのですか? 遺言書はありません。

 

相続人があなただけの場合はすべての財産を相続できます。

相続人があなたとお子様の場合は、あなたがすべての財産の半分を相続できます。

相続人があなたと直系尊属の場合は、あなたはすべての財産の3分の2を相続できます。

相続人があなたと兄弟姉妹の場合は、あなたはすべての財産の4分の3を相続できます。(昭和56年1月1日以降生じた相続の場合、民法第900条)

 

【相続】本人が死亡した時点で、すでに子が死亡しており、子の子(本人にとって孫)は相続できるのですか?

 

相続人である子又は兄弟姉妹が相続の開始以前に死亡し、又は欠格・廃除により相続権を失った場合において、その者の子が代わって相続人になることを、代襲相続と言います(民法第887条2項、第889条2項)。 代襲される者を被代襲者、代襲する者を代襲者と呼びます。相続人の直系卑属(子)の場合は、どこまでも代襲します(再代襲・再々代襲、民法第887条3項)。兄弟姉妹の子は代襲相続できますが、その子の子までには代襲相続権はありません(民法第889条2項)。代襲者の相続分は、被代襲者と同じです。被代襲者が相続を放棄した時、代襲者は相続はできません。代襲者が複数の場合、被代襲者の相続分を代襲相続人の人数に応じて均等に分けます。

 

【相続】相続の対象となる財産には、どのような物があるのでしょうか?

 

被相続人の財産に属した一切の権利義務(民法第896条)をいい、積極財産としてのプラス財産(現金や不動産など)と、消極財産としてのマイナス財産、つまり債務(借金など)があります。厳密には権利義務とは言えないものであっても、財産法上の法的地位と言えるものならば相続の対象となり得ます。(例:占有者の善意悪意、保証人・物上保証人としての債務、契約申込者の地位など。)

 

【相続】相続はいつ開始するのですか? 相続が開始した後、死亡した人の財産はどのように管理され、処分されるのでしょうか?

 

人の死亡時から、相続は開始し(民法第882条)、相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を受け継ぎます(民法第896条)。この場合の死亡とは、自然死、事故死の他に、失踪宣告などにより、法律上死亡したとみなされる場合も含まれます。相続人が複数人いる時には、被相続人の相続財産(債権債務)は、遺産分割協議が行われる等によって、個々の相続人への具体的な帰属が決まるまでは共同の管理のもとに置かれます。その間は、保存行為・変更行為・その他の管理行為ができます。管理の費用は、相続財産の中から支払います。(民法第885条)

 

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